体験談について
体験談の意義
1. 断酒の必要性を繰り返し確認する。
*断酒しなければならない理由は、飲んでいたころの体験の中に見いだせる。
*『喉元過ぎれば熱さを忘れる』を防止する。
2. 断酒の結果を評価できる。
*過去の自分の生活や姿と、現在のそれとを比較することができる。
*家族の笑顔、明るい心、仲間など、断酒がもたらした幸せが実感を伴って評価できる。
3. アルコール依存症に関係ある問題点が整理できる。
*体験談の内容が深まると、生活習慣、ものの考え方、感じ方、物事の対処の仕方、 人間 関係の持ち方などの問題点を明確にする。
*良い方向にかえていくことは、断酒継続につながる。
4. 体験談は第一の酒害活動である。
*体験談を聞くことで忘れていた過去の自分の体験を思い出し、また同様な体験を も つ人達への仲間意識が生まれる。
体験談を話す工夫
1. 過去の体験を思い出しましょう。
*酔っていた頃のことは忘れていることが多いのですが、相手、時期、場所を限定して、 思い出す努力をしてみましょう。 (正月はどう過ごしたか、妻との間にお酒でトラブルは起きなかったか等)
2. 体験談をたくさん聴きましょう。
*体験談を聞くことで、忘れていた過去の自分の体験を思い出すことがよくある。
3. 一回に一つのエピソードを話しましょう
*酒歴を順に話すと時間が長くなるので、的を絞って話しましょう。
4. 具体的に話す。 *「けもののようなことをした」「人間の資格はない」「箸にも棒にもかからない人間 などの表現だけでなく、具体的にどんなことがあったのかを話しましょう。
私の体験談
2021年3月1日
河内長野市断酒会
須藤 恒雄
私がアルコール専門病院である新生会病院で診察を受けたのは2012年5月12日でした。その日は妻と長女が病院に一緒についてきてくれました。診察前に、ワーカによる飲酒歴や生活などのヒアリングがあった。
和気医院長の初めての診察でも問診があり、「アルコール依存症」と診断された。和気医院長からはすぐに入院するように言われた。しかし、その時点でわたしには借金があり、それを返済するには入院できなと医院長に訴えた。
その結果、「断酒の三本柱」の「通院・抗酒剤・地域断酒会入会」を守ることを条件に入院はしないですむことになった。
その日から断酒を開始し、今日まで8年9ケ月と13日目の断酒を継続している。
|
11/1/26 |
11/9/27 |
12/5/24 |
12/6/21 |
12/8/21 |
547 |
470 |
266 |
93 |
50 |
*この表はγ‐GDPの血液検査の値である。約1年前には547あった値が、断酒訳2ケ月後には50の値に下がった。
私の断酒日記の一部
私は断酒当日より「治療日記」を5年間続けた。その中から1年間を時系列的列挙する。
1.病院の初診から7日目で下痢が治ってきた。呑んでいるときはいつもおなかの調子が悪かった。だからトイレの場所は常にどこに行っても分かるように意識していた。トイレの場所を意識しないでいいのは本当に安心だ。
2. 40日目に歩く姿勢が、今まで前かがみだったのが背筋を伸ばして歩いていると私は先生に報告しました。背筋を伸ばて歩くことができるのは爽快です。
3. 72日目。朝顔を洗って鏡を見ると、顔がシッカリとして見えた。二日酔いではないスッキリとした顔を見て今日も頑張るぞという気持ちになった。
4. 176日目。夢の中でお酒を飲んでいた。昔の仲間が沢山出てきた。起きてその夢にビックリする。潜在的に飲みたい気持ちがあるのかと疑う。
5. 202日目。断酒のお陰で本当に寝付きが良い。寝る前の習慣で本を読むが、眠たくなったらすぐに眠りにつける。そして、ぐっすりと眠れる。嬉しいことです。
6. 224日目。お屠蘇とお酒のない正月は初めて。結婚以来というか、生まれてこの方、酒のない正月をする。長女の婿も次男も、私の断酒に協力してくれて本当にありがたいことだ。
7 .357日目新生会の仲間の会の運動会に初めて参加する。お酒のない運動会なんて世間の人が知ったら本当に驚くだろう。
8. 372日目。ママ・長女一家も一緒で1年表彰式に出席してくれた。
私の酒での失敗
酒で失敗したことは思い出せないものがあるけれど、書いていく。
1.例のごとくミナミで呑んで南海高野線に乗った。目を覚ますとまた乗り越したかと電車が停車した駅のプラットホームへ出たと思ったところ、電車とプラットホームの間にストンと落ちてしまった。大声で「助けてくれ~」と叫んだ。
数人がかけつけ、腕を持ち上げて電車とプラットホームの隙間から救い出してくれた。と同時に電車のドアが閉まり電車は動き出した。まさに危機一髪のところであった。
2.これも飲んで帰宅した。翌朝、単車がないのに気づいて家の者に尋ねると、家の対面の福田さんの家の溝に単車が突っ込んでいた。全然記憶にない。 現場を見ると、よく大怪我をしないで済んだもんだと感心してしまった。
3.これも単車の話です。
休日で朝からコンビのはしごで、ワンカップを相当飲んでいた。橋にかかるところでバックミラーを見ると白い乗用車が接近しているのがわかった。左へハンドルを切って道を開けてやる。そのとき、道路わきの細かい砂にハンドルを取られて橋の欄干に激突した。ズボンが破れて血が出ている。家に帰り妻に言うと、「飲んでばかりいて私は知らん!」と怒られた。2階へ上がり健康保険証をもって単車で近くの青山病院へ行く。傷口を何針か塗ってもらい、翌朝レントゲンを撮ると。足の指が骨折しており、すぐにギブスをして1ケ月の入院となる。
これら3つは代表的なもので、失敗は数えきれないほどある。断酒会や研修会に出席し、ほかの人の体験談を聞き、自分も同じような失敗をしてきたと振り返ること度々である。
私の今
私は昨年(2020年)6月28日、左椎骨動脈閉塞になり約3ケ間の入院後、今は車椅子生活になってしまいました。
8年間の断酒は(今も継続中)無駄にはならなかった。脳梗塞にはなったけれど、断酒していなければ、もっと厳しい状況になっていただろうと思う。今はコンビニにも行けないので、酒をのむことは決してあり得ないことです。
断酒することにより、自分のふがいなさを知り、妻のありがたみが良く分かった。
これからは、車いすでもできることを考え、断酒を続けていきたい。